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固定資産と会計処理

(2015年6月1日の発行記事です)
Pasona NA プロフェッショナル事業部の上間です。
弊社では経理の業務委託サービスをご提供させて頂くにあたり、様々な企業様の経理業務のサポートを行なっています。経理処理上で使用する勘定科目は数多くありますが、今回は、固定資産とそれに関連する会計処理についてお話しします。

まず、そもそも固定資産とは何でしょうか?

会計上の固定資産とは、販売目的でなく且つ継続的に会社で使用することを目的とする資産を指します。資産は流動資産(Current Asset) と固定資産(Non-Current Asset)の大きく二つに分けることができます。流動資産とは売掛金(Accounts Receivable) や在庫(Inventory)などの一年以内に現金化される資産のことを指し、会社で資産を保有する見込み期間が一年以上のものを固定資産と言います。また、固定資産は有形固定資産と無形固定資産とに区分することが出来、有形固定資産(Tangible Asset) には土地(Land) 、建物(Building)、建設仮勘定(Construction in progress)などがあり、無形固定資産(Intangible Asset)には特許権(Patent)、著作権(Copyrights)、ソフトウェア(Software) などがあり、これらの有形・無形固定資産は貸借対照表の資産の部に計上されることになります。

固定資産は一体どういったときに計上するのでしょう?

企業では、文房具、机、パソコン、社用車などあらゆるモノを購入します。一般的に文房具などの雑費は経費で計上して、社用車は資産計上されていらっしゃる企業が多く見受けられますが、机やパソコンに至ってはどうでしょうか。企業によっては、デスクは費用計上しているけれどパソコンは資産計上している、パソコンは資産計上しているけれど机は費用計上している、または、一部のパソコンは資産計上しているけれど他のパソコンは資産計上していないなど、計上方法はそれぞれ異なります。○○万円未満の資産については購入時に一括費用計上して、購入金額がそれ以上になった場合は何年かに分けて費用計上する、などの取り決めをされている企業もいらっしゃいますが、その取り決めは米国では会計上のルールに則したものでしょうか。
日本と米国では会計や税務における固定資産に対する認識や規定が多くの面で異なります。日本では一定の基準を満たした中小企業は2003年4月から2014年3月31日までに取得した減価償却資産の取得価格が30万円未満である場合、その費用を1年で一括で計上することができますが、米国では資産計上の認識が日本のそれとは異なり、基本的に購入したモノはたとえ購入価格が低額であったとしても資産計上することが求められます。IRSの税金に関する取り締まりは日々厳しくなってきており、IRSからの指摘を受けない為にも適正な固定資産計上についての取り決めを行っていく必要があります。

減価償却とは?

減価償却とは資産の使用または時間の経過による固定資産の価値の減少を決算期ごとに一定の方法により費用として算入することです。簡単に言うと、資産の価値を減少させて、その減少させた同額の金額を費用計上するということです。固定資産の価値は月日が経つにつれて購入時の価格より下がることが一般的です。例えば、社用車を3万ドルで購入したとしても、3年後にその社用車を購入した当時の金額で売却できるかというとそうではありません。固定資産の評価額の見直しを定期的に行う必要が有り、この減額した資産価値を費用に振り替えることを減価償却といいます。
具体的にいえば、3万ドルの社用車を購入した場合、ある一定の算出方法により社用車の価値が1,000ドル下がったとした場合、会計上の処理としては、資産の価値をBalance Sheet上で$29,000に下げ、その減額させた資産価値($1,000)を減価償却費としてProfit & Loss Sheetで費用計上することになります。その減価償却を行う方法としては、「直接法」と呼ばれる直接取得原価から減価償却費を差し引く方法と、「間接法」といって、減価償却費累計(Accumulated Depreciation) というB/S勘定をマイナス計上して間接的に資産額を減らす、という二種類の方法があります。

直接法と間接法の仕訳例は下記のとおりです。
直接法
【借方】 減価償却費(Depreciation Expense) $1,000 / 【貸方】 :社用車(Company Car) $1,000
間接法
【借方】 減価償却費(Depreciation Expense) $1,000 / 【貸方】 減価償却費累計(Accumulated Depreciation) $1,000

日本では減価償却を行う際、直接法、間接法どちらの償却方法も用いられますが、米国では間接法で減価償却を行うことが一般的です。それが一般的な処理方法であるという以外に、減価償却費の計上を間接法で行う場合のメリットとしては、直接法で償却を行った場合は会計システムから固定資産勘定を表示させた際に、固定資産取得価格から今までに計上した減価償却費累計額を差し引いた金額が表示されるのに対して、間接法を用いた場合、固定資産の取得価格と減価償却費累計額が個別に表示されるので、間接法を用いた方が固定資産の取得価格がいくらであったのか一見して把握しやすいというメリットがあります。財務諸表を見易くすることで、会計上の管理を簡易化することが可能になります。

固定資産台帳とは?

固定資産を管理する為に作成する帳簿のことを固定資産台帳と言います。
会計事務所に監査や税務計算を行って頂く上で、固定資産台帳の提出を求められます。最近では固定資産および減価償却のスケジュールの管理をエクセルや会計システム上で管理している企業も多いですが、今でも昔ながらのやり方で、紙面(ペーパー版)で固定資産の管理を行っている企業様も中にはいらっしゃいます。後者の様に、固定資産台帳を作成されていない場合や、紙面(ペーパー版)での固定資産の管理を行っている場合は、エクセルなどの電子版での台帳を作成することを強くお勧めします。電子版の台帳であれば、監査法人への台帳の提出が楽に行える、データ化することで台帳の紛失の危険性を減らせる、また、より詳細な固定資産の管理を行うことが容易に出来るので、業務の効率化と簡素化の実現が可能になります。

減価償却費の算出の仕方とは?

原価償却費を算出するには償却方法と耐用年数、残存価格を設定して償却していく必要がありますが、皆様はそれらをどのように決定されていますでしょうか。監査を受ける際には固定資産台帳と減価償却のスケジュール表の提出を求められますが、その際、償却方法の他に耐用年数と残存価格の設定を何を基準に行っているかの根拠について提示を求められる可能性があります。耐用年数と残存価格を決める上で最も一般的なのはInternal Revenue Service(IRS)の規定している税法上のルールに則ってそれらを設定することです。米国の会計上のルールでは償却方法と耐用年数、および残存価格の設定を税法上でのそれにあわせなければならないという規定はありませんが、税金計算後の調整仕訳の記帳の手間を省ける、償却方法の設定根拠が監査の際に示し易い、また、より実際の経営状態を表す財務諸表を作成することが可能になる、などが税務上のルールに合わせている企業が多い理由だと言われています。 IRSのウェブサイトでは固定資産の減価償却についてのガイドラインを記載した発刊物「Publication 946」が閲覧できますので、ご参考までに下記をご案内します。
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p946.pdf
http://www.irs.gov/publications/p946/ch04.html

会計や税務の世界では刻々と規則や法令が変わりますので、定期的に自社の規定や処理方法がアップデートされたものになっているか見直しを行うのも、適正な会計処理を行っていく上で重要なポイントになってくるかと言えます。


【免責事項】
本ニュースレターの内容は、米国人材・人事・経理・給与に関する一般的な情報の提供のみを目的とするもので、法的助言を目的としたものではありません。 法的行動を起こされる際には、必ず専門の弁護士にご相談下さい。

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