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事業継続計画(BCP)

(2015年4月30日の発行記事です)
皆さんは経理部門の事業継続計画(BCP)を考えたことはありますか?事業継続計画を作成する上で最も優先される事は顧客向けサポート業務です。そのため、経理部門の事業継続計画の作成は後回しになっている企業が多いように見受けられます。今回は、経理部門の事業継続計画(BCP)についてお話したいと思います。

1.   事業継続計画(BCP)とは?

BCPとは、Business Continuity Planの略で、災害や事故など不測の事態を想定し、事業に与える影響を最小化し、事業の中断を防ぐための対応策をまとめたものです。災害時に従業員の避難や安否確認の方法のみでなく、災害発生後、どのように事業を継続するのかという事に焦点を当てるBCPは、アメリカの多くの企業で策定されています。

日本企業も、特に2011年の東日本大震災以降、BCPの策定をしている企業も増えてきているかと思いますが、帝国データバンクの2012年3月27日のレポートによると、BCPの認知度は61.2%、策定している企業は10.4%となっており、 まだまだBCP策定している企業割合は十分とは言えないようです。同じ調査によると、東日本大震災により、6割以上の企業の事業が中断・停滞したとあります。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p120308.html

2. 経理業務が考えるべき想定レベル

災害時と言っても、疫病、地震、火災、停電など様々な想定レベルがあります。それぞれの災害に対してのBCPを作成するのは大変ですが、広範囲に及ぶ災害に対して対応策を立てることで、ほとんど全ての問題の解決に至ります。 例えば地震が発生し、経理部の入ったビルが崩壊してしまった場合などを想定してみます。すると、電気、インターネット、銀行業務、道路などのインフラが断絶されることが予測されます。それらインフラの復旧にかかる日数を想定し、その中で経理業務を支障なく行うために、何を準備し、地震発生後にどの手順で業務を行うのかを考える事ができます。

3. 経理業務のBCPが必要な業務の洗い出し

各企業によって違いはあると思いますが、経理業務の中で、不測の事態に対応策を考えておくべき必要最低限な業務としては、特に下記3つの業務が上げられるかと思います。

• 従業員への給与支払い
• 取引先への支払い(支払い業務のための資金繰り)
• 売掛金の回収

勿論、月次や四半期の決算処理も重要な経理業務ではありますが、ここでは優先順位を下げています。支払いが出来ないことにより事業継続に支障が出てしまう事や、従業員への給与支いが止まることによる弊害の方が事業継続という観点から考えると重要視される事が多いです。もし、決算業務のBCP作成が必要と感じる場合、決算がどのくらい遅れると、どのようなリスクを会社に与えるのか事前に確認を取ると良いでしょう。

4.  シミュレーション

想定レベルとBCPが必要な経理業務の洗い出しが出来たら、想定レベルに合わせて各業務のシミュレーションを行っていきます。そうすることで、現在の体制で事業継続のために足りていない事が浮き彫りになります。問題なく事業継続計画を立てられる体制であった場合は、部内でシミュレーションを共有し、同じ理解、同じ動きを取れるように訓練する必要があります。

ここでは、オンライン給与システムを利用して給与支払いを行っている企業の従業員への給与支払い業務で考えてシミュレーションをしてみましょう。

  • オフィスに勤務が出来ない
    災害のなかった他支店やグループ会社の担当者に給与支払い業務の依頼は出来ないでしょうか。
    依頼先がない場合、緊急時に自宅、他支店など、別の場所での業務が可能でしょうか。その場合、パソコンなど必要なツールは揃うでしょうか。
    会社としてのポリシーの見直しが必要になるかもしれません。緊急時のオフィス外での業務は、何をどこまで行って良いのか明確にしておく必要があります。
    給与データや資料がオフィスにのみ保管されている場合、別の場所での業務を行う際にデータ収集などに時間がかかります。
    別の場所からでも最新のデータにアクセス出来るようなデータ管理方法の構築が大切です。
  • インターネットにつながらない
    オンラインの給与システムを利用している場合、インターネットが切断されているとシステムからの給与支払いが出来ません。インターネットの復旧が見込めない場合、インターネットのつながっているエリアへの早急な移動や、モバイルインターネットなどの手段をいくつか考えておくべきでしょう。
    給与システムだけでなく、昨今はインターネットに依存した業務が多くなっています。インターネットがつながらなくても業務が出来る体制を作る、というのはあまり現実的ではありませんね。どちらかというと、どのようにして速やかにインターネットがつながる環境を作るか、という事を考える必要があります。
  • オンライン給与システムにつながらない
    インターネットにつながるが、オンライン給与システムがダウンしてしまいっている可能性があります。システムからの給与支払いが出来ない場合でも、銀行からのネット額の振込みや、小切手の振り出しが出来るかもしれません。どこかのタイミングでオンラインシステムでの給与支払いを諦め、他の手段を選択する必要が出てきます。緊急時の状況下でそのタイミングを見計らうのは難儀ですので、予め、いつまでに給与システムにつながらない場合は、他の手段での支払い準備に取り掛かるという事を決めておくことをお勧めします。

 

上記は給与支払いの例でしたが、まずはスプレッドシートの縦軸にBCPが必要な業務、横軸に想定するシチュエーションを書き出す所からスタートです。それぞれの業務に対して、同じようにシミュレーションを行い、一つ一つの業務に対しての計画を作り、書面化、社内共有をする事をして下さい。そして一度計画をしたら安心という事はなく、システムやツールは日々変わりますので、定期的に見直しが必要となります。

最後に、BCPを作成する上での大前提として、業務を属人化させないことです。せっかくBCPがあっても、業務が属人化してしまっていては、担当者が身動きが取れなければ業務は停滞してしまいます。業務のリスト化を行い、優先順位やフローの整理、マニュアルの整備を行っておく事が重要です。また、外部への委託などによる業務リスクの分散なども一つの方法です。BCPの作成は、社内でのバックアップ体制が出来ているのか、業務リスクの分散がされているのかを今一度見直すチャンスになります。「備えあれば憂いなし」。皆様も是非、経理業務の事業継続計画を作ってみてください。


【免責事項】
本ニュースレターの内容は、米国人材・人事・経理・給与に関する一般的な情報の提供のみを目的とするもので、法的助言を目的としたものではありません。 法的行動を起こされる際には、必ず専門の弁護士にご相談下さい。

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