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日本人経理人材事情 2

(2015年1月28日の発行記事です)
Pasona NA プロフェッショナル事業部の井上です。
今回は、アメリカにおける経理人事事情についてお話しします。
2013年7月に同じトピックで、「日本人経理人材事情」と「今後の経理・会計人材における課題」について発信していますが、今回は経理人材事情のその後と、人材不足の状況下でどのような対策が打てるのかを考えていきたいと思います。

在米日系企業における経理業務を遂行する上で、本社への報告や財務諸表作成の段階で日本語が必要になるケースや、経理部内でのコミュニケーションを円滑に行うためにどうしても日本語ができる人材を求める傾向はどの企業でもあるのではないかと思います。

日本語スキルや日系企業文化に問題のないスタッフ採用で候補としてあがるのが、アメリカで学位を取得した戦力です。前回人事事情を取り上げた時にも紹介しましたが、アメリカに留学している日本人の実態はどのようになっているのでしょうか?最新情報を見てみましょう。

Institute of International Education の発表によると、1994年から1999年ぐらいまでは、日本はアメリカに留学生を一番輩出している国でした。それから15年ほどたった今では、留学生の出身地ランキングで7位に甘んじています。同レポートでは、日本人留学生が減少した理由を、「高齢化社会の影響」や「日本の就職時期とアメリカ大学の卒業時期のずれ」などと分析しています。
皆さん、どの国が上位を占めているか予想が付きますか?2013年から2014年にかけてのランキングを見てみると、

1位 中国(274,439人)
2位 インド(102,673人)
3位 韓国(68,047)
4位 サウジアラビア(53,919人)
5位 カナダ(28,304人)
6位 台湾(21,266人)
7位 日本(19,334人)

となっています。中国が圧倒的な数の留学生をアメリカに送り込んでいるのがこのランキングから分かります。総留学生の3人に1人弱が中国人留学生です。実に日本の14倍以上の留学生がアメリカで学生として生活していることになります。すごいギャップだと思いませんか?この中には、学位を取得しない語学留学生やOptional Practical Trainingの学生なども含まれていますので、この人数全てが就職候補生となるかというと必ずしもそうではありませんが、このランキング(特に上位3位)には納得せざるを得ません。私が通った学校のクラスを見渡すと、クラスメイトの数としてはこのランキングと同じ勢力図だったのを覚えています。特に会計関連のクラスは中国人留学生が非常に多く、日本人はクラスに2人いれば良い方でした。ちなみに、アメリカにおける留学生の総数は、毎年ほぼ右肩上がりで、2013年から2014年にかけては886,052人でした。アメリカ人を含む、学士号以上の学位を目指す学生総数の4.2%を留学生が占める計算になります。

余談ですがせっかくですので、留学生(日本人を含む全ての留学生)が多い州ランキングも紹介したいと思います。

1位  カリフォルニア州
2位  ニューヨーク州
3位  テキサス州
4位  マサチューセッツ州
5位  イリノイ州
6位  ペンシルベニア州
7位  フロリダ州
8位  オハイオ州
9位  ミシガン州
10位 インディアナ州

という結果です。なんとなく納得できるランキングだと思いませんか?

1994年から1999年ぐらいまでは日本が留学生輩出国のトップだったとお伝えしましたが、日本人留学生の推移を見てみましょう。(同じくInstitute of International Education発表による。)

1996年 46,292人
1997年 47,073人
2000年 46,497人
2003年 40,837人
2006年 35,282人
2009年 24,842人
2013年 19,334人

ピークだった1997年と比べると、2013年は日本人留学生は約60%も減少しています。最近の若者は内向き思考などと言った報道を目や耳にしますが、色々な要因があるにしろ確かにそのような傾向は否めない数字に見受けられます。(人数は減少しているものの、アメリカは今でも日本人留学生の留学先国・地域のトップです。)
このように、年々減少している日本人留学生ですので、アメリカで就職をしてキャリアを積んでいく優秀な社員を確保するのはとても至難の業になってきています。更に、新卒学生はビザのサポートが必要となるケースが多いのですが、H-1Bビザは発給数に限りがあるため、近年は毎年抽選が行われ、いくら優秀な社員であっても抽選に漏れるとビザが取得できずに帰国せざるを得ない事態になりかねません。せっかく出会った優秀な社員を、会社と本人の意思に反して手放さなければならない状況に陥ってしまう可能性が大いにあるのです。

このように、日本人留学生の絶対数が減っていますので、おのずと経理人材もなかなか見つけにくい状況は残念ながら続くものと思います。最近では円安が追い討ちをかけて、今後も日本人留学生数は減少を続けるか同じぐらいの人数で推移していくのではないかと推測できます。経理・会計スキルを伸ばすには、どれだけ現場で経験を積むかが重要ですので、5年後・10年後に腕に磨きをかけた優秀な人材をマーケットで見つけることが困難な事態は避けて通れないかも知れません。

日本語人材不足に対する対策

企業訪問を行うと、経理・会計人材を探すのに苦労しているという話しを聞くことが近年とても多いのですが、今後もこの状況は続く、もしくは悪化することが予想されます。この状況が瞬時に解決されることは考えにくいですので、この先どのようにしてこの人材不足の中でも業務を回していくか、クオリティーを維持もしくは改善していくためにどのような対策を打つことができるのかいくつかアイディアを紹介したいと思います。

• 業務分担を見直す
経理部内での業務分担をもう一度見直して、経理知識がなくてもできる作業(例えば、支払い業務の中で、過去に同じ請求書を支払っていないかなどの確認作業)がないか、またローカル社員でもできる業務を貴重な日本語人材が行っていないか、日本語人材は、本社報告などスキルに合った業務を行っているか、などの再確認をするとローカル社員でまかなえる業務が増えて日本語人材は、本来の言語スキルを活かせる業務に集中でき、2人必要だと思っていた日本語人材を最悪1人で回せるような体制作りができるかも知れません。経理スキルと語学スキルの観点から縦・横に業務を見直してみるとヒントが見つかる可能性があります。

• 日本本社の協力を要請する
企業規模にもよりますが、日本側での対応がまだ日本語のみで、どうしても現地法人は本社側のスキルセットに合わせて報告業務の人材を確保しなければいけないといった悩みを抱える会社も多いかと思います。もし報告業務が英語でできるようになれば、日本語に特化せずに人材の選定ができます。日本本社の体制を変えることは時間がかかり難しいとは思いますが、少なくとも問題提起を行い、できるところから協力を要請し実践できるよう努力をすることは可能ではないでしょうか?

• ITを駆使する
ITは日々進化していますので、それを使わない手はありません。会社に来て仕事をする日本語スキルのある経理要員を採用するのは難しくても、遠隔からであれば作業をしてもらえる人材を確保できるかも知れません。全てのフローを電子化して、クラウドなどを駆使して、遠隔から作業をしてもらうことで必要な人員を確保することが可能になります。どうしても現場にいないとできない作業がどれぐらいあるのか、またそれが一定のスキルを持った人でないとできない作業なのかをしっかりと見極めて、このような対策を検討するのも良いでしょう。

5年後・10年後の起こりうる状況をしっかりと見据えて今から対策を考えておくことが、将来大きな落とし穴にはまらないためには重要です。今後も定期的に経理人材情報については発信していきたいと思います。


【免責事項】
本ニュースレターの内容は、米国人材・人事・経理・給与に関する一般的な情報の提供のみを目的とするもので、法的助言を目的としたものではありません。 法的行動を起こされる際には、必ず専門の弁護士にご相談下さい。

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