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有給休暇について注意しておきたいこと

(2014年9月24日発行記事です)

有給休暇について注意しておきたいこと

有給休暇は企業によって内容が異なり、従業員にとっては特に気になる福利厚生でもあります。そこで今回は、有給休暇について注意しておきたいことを、いくつかお話させていただきます。

有給休暇の日数

有給休暇は企業により提供している日数がかなり異なります。一般的には休暇日数はアンケート調査結果などを基にして、同業種や同産業の中での平均を引き出し決められている場合が多いです。同産業で他の企業より少ない休暇日数の場合、従業員や入社志願者からは魅力のないものに映ってしまいます。

アメリカの労働状況は、より良いペイ(給与)や福利厚生を提供している企業に転職することが普通ですので、同産業とはほぼ同じか、少なくとも平均日数を下回ることのないよう、気をつけなければなりません。ここで特に気をつけておかなければいけないこととして、有給休暇プランの見直しを定期的に行うことです。有給休暇を初めて設定する場合はアンケート調査結果を基にして決めたので、同産業と比べて魅力的な日数になっていたとしても、何年も同じ有給休暇プランだと、いつの間にか同産業と比べて平均日数よりも下回っていることがあります。

有給休暇に関するアンケート調査結果を定期的に確認しておき、法律が変更するタイミング、従業員ハンドブックを改定するタイミングなどに、必ず有給休暇についても見直しすることをお勧めします。

有給休暇プランの種類

有給休暇といっても色んな有給休暇があります。代表的なものとしてはVacation、Paid Sick Leave、Bereavementなどがありますが、Society For Human Resource Management (SHRM)の「2014 Employee Benefits」Surveyをもとに、現在、20%以上の企業が提供している有給休暇プランを下記に記載してみました。

ここにあがっているPaid time off plan (PTO)とは、Vacation、Sick、Personal Daysなどを一つにまとめたプランです。そのため、PTOプランとしてVacationを提供していると考えると、Vacationの40%とあわせて98%という殆どの企業がVacationを提供していることになります。

Leave Benefits Currently Offer the Benefit
Paid Holiday 96%
Paid bereavement leave 85%
Paid jury duty beyond what is required by law 60%
Paid time off plan 58%
Paid vacation plan 40%
Floating holidays 38%
Paid sick leave plan 33%
Paid military leave 23%
Paid personal day(s) 22%

提供している日数は、1つの有給休暇プランだけで同業種や同産業のアンケート調査結果を比べるのではなく、提供している有給休暇プランを総合的に比べるよう、注意しましょう。

有給休暇の管理方法

有給休暇の管理方法には色んな方法があります。よくある方法ですと、エクセルでの管理、給与システム上での管理、勤怠管理システム上での管理などがあります。どの方法にしても、正確な有給休暇の管理が求められます。 有給休暇管理で起こりえる問題としては、残高日数よりも多く休暇申請・承認してしまう、Accrual Rateを間違えたまま管理してしまう、休暇を取ったのにその記録をつけ忘れてしまうなどがあり、いずれにしても最終的には金銭的な間違いが発生し、従業員は会社に対して不信感をいだいてしまいます。

SHRMとKronosが行った「Total Financial Impact of Employee Absences in the U.S.」Surveyによると、有給休暇の管理を、「とても正確に管理している(Very accurately)」と回答したのは24%、 「とても正確ではない(Not very accurately)」と回答したのが21%、そして、半分以上の方が、「適度に正確(Reasonably accurately)」と回答しています。

この結果を見ると、現在の有給休暇の管理方法をとても正確だと感じて管理している方は、全体の約1/4しかいないことになります。ではどのような有給休暇の管理方法にすれば、正確な管理が出来るのでしょうか。必ず正確になるかは、やはり管理者の技量になってきますが、管理しやすい有給休暇プラン内容、または間違えにくい管理方法にすることは心がけておきたいです。

例えば、管理しやすい有給休暇プラン内容とはどんなものでしょうか。勤続年数によってVacationのAccrual Rateを変更するプランはよく見かけますので、これを例にとってみましょう。勤続年数によってVacationのAccrual Rateを変更する場合、Accrual Rateの変更時期をAnniversary Date(入社日)で変更させるプランにしている事がよくありますが、そうすると、社員が50名いたら、50名のAnniversary Dateがくる度に、「今回はどの従業員の確認を行わなければならないのか?」、「次の1年では今のAccrual Rateが変わるかな?」、「Accrual Rateが変わるのであれば、どのRateに変わるかな?」という確認作業が発生します。 もし50名のAnniversary Dateが全員異なるのであれば、その作業をAnniversary月が同じ従業員をまとめて行ったとしても、この作業を1年に12回(毎月)行う必要が出てきます。

勤続年数によってVacationのAccrual Rateを変更するプランでも、1年に1回だけこの作業を行うというプランにすることもできます。毎年1月1日時点での勤続年数によってVacationのAccrual Rateを変更させるというプランにしていれば、 1月1日の時点での勤続年数をもとにAccrual Rateを変更させることになるので、上記の確認作業を1月に全員分一気に行うことが出来ます。

また、有給休暇の申請方法によっても、管理業務のミスを少なくすることが可能です。例えば、有給休暇の申請をE-mailで申請している、または口頭のみで申請しているという企業がありますが、そういった申請方法ですと、E-mailをかき集めたり、口頭で聞いた申請をメモに残すこと忘れてしまうなどが頻繁に起こりますので、常に申請用紙を使用してもらう、および申請・承認フローを文書化して、有給休暇を承認する方にもフローを徹底してもらうよう トレーニングを行うとよいでしょう。

勤怠管理システムを使用している企業でしたら、そのシステムで有給休暇の申請もできるようにしておくなど、システムを導入することで、効率化、申請忘れなどを回避することも可能です。

どのプラン内容であっても、どの管理方法であっても、正確な管理を行うためには管理者の技量になりますので、現在の有給休暇のプラン内容、管理方法を定期的に見直し、申請フローの簡易化、及び管理者にとって管理しやすい方法にしておくことを注意しておきましょう。

有給休暇と法律

各州によって取り扱いが異なりますが、退職時にAccrualした分のVacationやPaid Time Offの日数を従業員に支払わなければならない州もあります。そのため、雇用者は従業員がいる各州で、どのように有給休暇を取扱いうべきかを確認しておく必要があります。また、最近のトレンドとしては、Paid Sick Leaveが法律として制定される傾向にあります。現在、Paid Sick Leaveが制定されているのは(施工待ちも含む)下記の2州と12の都市です。


• California
• Connecticut
都市
• East Orange, NJ
• Eugene, OR
• Jersey City, NJ
• New York City
• Newark, NJ
• Passaic, NJ
• Paterson, NJ
• Portland, OR
• San Diego, CA
• San Francisco, CA
• Washington, D.C.

既にPaid Sick Leaveプランをもっている雇用者も、現在提供しているPaid Sick Leaveプランが該当する州、都市で制定されたPaid Sick Leaveの内容に満たしているかを、必ず確認しておくようにしましょう。

参考資料
SHRM: http://www.shrm.org



【連載】誰でもわかるリタイヤメント講座 第11回

企業年金プランのケーススタディ、3つ目のケースをとりあげたいと思います。

Cさんは、アメリカ在住20年。日本で税理士としての職務経験の後、大学院の学生として渡米し、アメリカ人と結婚。子育てが落ち着いてきた頃、日本のITベンチャー企業のCFOとして現地採用される。共働きをしており、15万ドルを超える年収だが、教育費、住居費、医療費が高いためにあまり貯蓄ができておらず、将来に不安を感じている。従業員のため、ひいては自分の家族のために、本社にリタイヤメントプラン設立を提案しようと考えている。 ベンチャー企業のCFOとしては、福利厚生にお金と手間をあまりかけることができない会社の実情を理解している。しかし一方で、会社としては、平均年齢が低く、年金の意識が低い従業員に対して、なるべく自助努力で貯蓄を行うことを奨励する制度を作りたいと考えている。

さて、上記のケースですが、どのようにアプローチすれば良いでしょうか?まずは、前回と同じ様な観点で、分析をしたいと思います。

[ポイント1: 目的]
ここにある情報から読み取れる、企業年金プラン設立における一番の目的は、"従業員の福利厚生"であるということがわかります。

企業年金プランを設立するのに、"目的が従業員の福利厚生"というのは、当たり前ではないかと言われるかもしれませんが、必ずしもそうではないということは、これまで見てきた通りです。むしろ、中小企業では、オーナー社長が、自社の節税や自分個人の年金貯蓄を最大化させようとして、企業年金プランを設計することは一般的です。

本件では、会社のCFOが、一従業員の目線で年金貯蓄制度を作りたい、と言っていることがわかります。したがって、会社としての納税額が最小になるように、あるいは社長の年金貯蓄が最大化されるように、といったポイントは考慮せず、あくまで全ての従業員に年金貯蓄の機会が与えられれば良い、ということになります。

[ポイント2: コスト]
本ニュースレターでは、コストが高いプラン、安いプランにまず分けて考えています。おさらいのために、以下にその大別を行います。

コストが高いプラン:401(k) Profit Sharing Plan、DB Plan
コストが安いプラン:SEP IRA、SIMPLE IRA

本ケースでは、ベンチャー企業のため、福利厚生にお金と手間をあまりかけることができない、という風に記載されています。そうすると、プラン維持のためだけにTPA費用などがかかる401(k) Profit Sharing PlanやDB Planはこの候補から除外されることになります。

そうすると、残るは維持コストが安いプラン、つまりSEP IRAとSIMPLE IRAということになります。

[ポイント3:会社の業績]
会社の業績はここからはわかりませんが、少なくとも安定した収益が継続的に見込めるというわけではなさそうです。そのことから考えると、DB Planは明らかに適さないということがわかります。

上記のことから、本ケースでは、年金プランの候補としては、維持コストがかからないSEP IRAもしくはSIMPLE IRAが有力ということになります。それでは、次回はこの2つのプランを比較してみたいと思います。


【免責事項】
本ニュースレターの内容は、米国人材・人事・経理・給与に関する一般的な情報の提供のみを目的とするもので、法的助言を目的としたものではありません。 法的行動を起こされる際には、必ず専門の弁護士にご相談下さい。

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