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棚卸資産の評価方法、低価法について(Lower of Cost or Market: LCM)

(2014年2月26日発行の記事です)

棚卸資産の評価方法、低価法について(Lower of Cost or Market: LCM)

12月決算の企業様は今年に入りすでに監査を受けられた、またはこれから受けられる企業様も多いかと存じます。ご準備はいかがでしょうか。監査では多くの財務関連資料の提出が必要です。その中の一つに棚卸資産をお持ちの企業様 はLower of Cost or Market (通称LCM) 、日本では低価法と呼ばれる評価方法を用いた計算を求められるかと思います。

日本では過去、原価法と低価法の選択適用が認められていましたが会計基準の改正により2008年より低価法が強制適用となっております。そのためなんとなく低価法についてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

原価法が棚卸資産を取得時の原価で評価するのに対し、低価法とは棚卸資産の取得原価と時価を比較し、どちらか低い価格で評価をする方法です。アメリカでも日本同様に原則として低価法を使用することになっています。

棚卸資産はダメージや技術革新、その時々のトレンドや消費者のニーズの変化などさまざまな理由で価格が変化します。棚卸資産を持つ企業は在庫価値の再評価を行い、時価が原価を下回っているような状況になった際には回収不可能な金額を資産として計上していることになりますため、その評価損を計上する必要があります。

ここでいう原価というのは棚卸資産の評価方法であるFIFO 先入先出法 (注1) やWeighted-Average 総平均法 (注2) などによって計算され帳簿に計上されているものとなります。

多くの経理システムでは事前にFIFOやWeighted-Averageが設定されており棚卸資産の価値が自動で計算されるようになっているかと思います。ただし原価と時価を比べて原価が低くなった場合にはシステムでは自動で計算されず、エクセルを使い計算され大変苦労をされている企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

また先ほども述べました通り、LCMは原価と時価とを比べどちらか低い方で評価されるというものです。では原価と時価を単純に比較し、低い価格を採用すれば終了というのであれば簡単なのですが時価を決定する際に少し厄介なルールが 存在します。

そこで今回はLCMについて簡単ではございますが、基本的なルールをご説明させていただければと思います。

(注1) FIFO: First –In, First Out: 先入先出法先(First)に仕入れた(In)在庫が先(First)に売れ(Out)、後から仕入れた在庫が残っているとして棚卸資産の評価額を決定する方法。

(注2) Weighted-Average: 総平均法
購入した合計金額を購入した数量の合計で割り、一個あたりの単価 、総平均単価 (Average Unit Cost)を出し、期末に残っている棚卸資産の個数をかけ評価額を決定する方法。

【STEP 1】 時価を決定する

時価とは今同じ棚卸資産を購入した場合の価格となり、これを再調達原価 (Replacement Cost) といいます。原価とこのReplacement Costの比較だけなら簡単なのですが、このReplacement Costには上限 (Ceiling) と下限 (Floor)の間でなければいけないというルールがあります。

1. Ceiling (Net Realizable Value: NRV)
Ceilingは正味実現可能価格 (Net Realizable Value) といい今棚卸資産を販売した際の金額から販売に要するコストを引いたものになります。
Ceiling = Net Realizable Value
Net Realizable Value = Selling Price – Reasonably Estimable Costs of Completion and Disposal

2. Floor (NRV – Normal Profit)
Floorは正味実現可能価格 (Net Realizable Value) から正常利益(Normal Profit) を引いたものになります。
Floor = Net Realizable Value – Normal Profit

○ 重要なルール
もしReplacement CostがこのCeilingとFloorの間であればReplacement Costが時価となります。もしReplacement CostがCeiling (NRV) よりも高い場合はCeilingが時価となります。またReplacement CostがFloor (NRV – Normal Profit) よりも低い場合はFloorが時価となります。

例1:
Replacement Costが$10、Ceilingが$15、Floorが$5の場合はReplacement Cost がCeilingとFloorの範囲にあるため、Replacement Costの$10が時価となります。

例2:
Replacement Costが$20、Ceilingが$15、Floorが$5の場合はReplacement Cost がCeilingよりも高いため、Ceilingの$15が時価となります。

例3:
Replacement Costが$1、Ceilingが$15、Floorが$5の場合はReplacement Cost がFloorよりも低いため、Floorの$5が時価となります。

【STEP 2】 原価と時価を比較する

時価が決定をした後、今度は原価と時価を比較します。

例1:
原価が$10で時価が$15の場合は原価の方が低いのでなにもする必要が ありません。

例2:
原価が$15で時価が$10の場合は時価の方が低いので差額分の$5を 評価損として計上する必要があります。

LCMの適応方法

それぞれの企業によっては棚卸資産の種類が大変多い場合もあるかと思います。LCMの適応方法にはそれぞれのItemごとに計算する方法、Itemの大まかなカテゴリーにて計算する方法、すべてのトータルで計算する方法などがあります。

ただし、米国会計基準 (US-GAAP) によればitem-by-item basisでの計算が最も保守的な結果となるため一般的な適応方法となっております。

まとめ

簡単ではございますがLCMの計算方法につきましてご説明させていただきました。棚卸資産を多くかかえます企業様にとりましてはLCMの計算にて出た評価損がBalance SheetならびにIncome Statementに少なからず影響を与える可能性 がございますので非常に重要な計算となっております。

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