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システム化の検討

(2014年1月22日発行の記事です)

システム化の検討

経理ソフト(システム)には、企業が行う業務活動の結果が会計情報として集約されます。会社が比較的小規模な段階では、全体把握がしやすく、非会計情報の収集に時間を要さないことが多いため、事業に何らかの課題が見えた時に意思決定まで比較的すぐに行うことができます。

ところが、従業員数、事業数、事業所数、取引数と、企業の規模が大きくなるにつれ、各所の情報が分散しがちとなり、判断材料とする情報を全社的に把握することに対する時間とコストが増加し、時には把握自体も困難になる場合があります。

「意思決定の迅速化」、また、それに必要な「決算の早期化」「業務の効率化」といったことが動機となり、多くの企業では「システム化」を検討することになります。ここで考えられるアプローチには、以下の2パターンが考えられます。
(1) ERPシステム(Enterprise Resource Planning System/総合基幹業務支援システム)を導入する
(2) 既存の経理ソフト(システム)に他業務のシステムを連結する
前者(1)のアプローチは、ERPシステムが購買・在庫・生産・販売・物流・財務会計・管理会計・人事・給与など、企業の主要業務を一元的に管理し、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を有効に活用することにより経営を効率化することを目的とした統合パッケージシステムであり、世界的もしくは業界的な標準プロセスに適合していることに利点があります。しかしながら、導入には大きなコストと長い時間がかかり、社内・社外の多くの労働力を投入する必要があります。

後者(2)のアプローチは、現行の経理システムをコアとし、他業務のシステムを連結するため、前者のアプローチと比べ、時間やコストが軽減されます。しかし、一方で、何個ものシステムを連結することは、システムの複雑化につながり、また、例え2つだけのシステムのみの連結の場合でも、システム間のデータ連携でひと手間かかり、時には非効率となる場合があります。

システム導入を成功させるには

システム導入のプロジェクトは6割~8割のケースで失敗に終わると言われています。高い投資をするのですから、失敗するわけにはいきません。プロジェクトを成功させるためには、どちらのアプローチを選択するのか、どのシステムを導入するのかを決定する初期段階から、いくつかの考慮ポイントがあると言われています。

■ トップマネージメントが関与すること
社長および役員層のトップマネージメントが、システム導入に対して積極的に関与していることがプロジェクトの最重要成功ファクターと言われています。

これから会社をどのようにしていきたいのか、何年後にどのようなことができる組織にしたいのか、ビジョンや経営戦略にそった形でシステム導入目的と成功の定義(もたらされる効果)をトップマネージメントが明確にし、社内にコミュニケーションすることが大切です。

■ 有能な人材(プロジェクトマネージャ)を確保すること
部内または数部門間で完結するシステムであれば、社内調整はそれほど難しくはありませんが、より高度なERPシステムを導入することになるにつれて、部門内の最適化ではなく、全社の最適化という視点で社内調整を行う必要があり、トップマネージメントから現場のキーパーソンまで、密接にコミュニケーションを取れるリーダーシップのある人材を初期段階から巻き込むことが重要です。
一般的に必要なスキルは、関連業務知識、IT全般の基礎知識、リーダーシップ、コミュニケーション能力、調整能力、コスト意識などです。ここで、プロジェクトマネージャに対してトップマネージメントが強力にサポートをすることも、成功への道と言われています。

■ 業務をどうしたいのか、絵を描くこと
業務が非効率なままシステム導入をしても、業務が効率的になることは決してありません。反対に、特有でイレギュラーな業務を無理にシステムで対応しようとすると、開発工数・コストが大きく膨れ上がり、システム導入の期間・予算のオーバーにつながることになります。
改善したい業務や欲しい情報とタイミングを考慮しながら、システムを導入することで業務をどうしたいのか、業務がどう変わってくるのかをイメージ付けておく必要があります。また、システムが「なんでもできる」「業務を劇的に変えてくれる」と捉えてしまい、「夢」が広がりすぎないよう、成功の定義に立ち返りながら行うことが大切です。この段階においては、システムを利用する現場のキーパーソンの関与が重要です。

■ 最適な開発ベンダーを選定すること
システム導入における計画・設計・構築・運用サポートの段階が別々の会社になってしまっては、スピードの低下や漏れの発生のリスクが考えられるため、通気一貫してサービスを受けられることは重要です。
また、導入実績のあるシステムや開発スキル、業務知識に偏りのある開発ベンダーでは、最適なソリューションの提案を受けることができません。導入費用が安いという評判や昔からお世話になっている方がいるという理由ではなく、しっかりとスクリーニングをかけた上で、最低でも複数社に声をかけ、最適なパートナーとなるかどうかの比較検討を行うべきと言えます。

■ 導入予算を明確にすること
システム導入の予算に余裕のないプロジェクトは、想定外の事態への対処が困難となり、プロジェクトの継続自体が困難になってしまうケースもあります。

本当にシステム導入が必要なのか

検討段階で、目的が「システムを導入すること」にすり変わってしまわないように、導入の本来の目的を常に意識することが重要です。「何が何でもシステム導入しなければいけない」、と思ってしまったら危険です。そもそものシステム導入目的と成功の定義(もたらされる効果)に立ち返りながら検討を進めることが大切です。

また、逆に、現行システムの保守・運用コストに頭を悩ませている場合も多くあるかと思います。システム導入時に一度戻って振り返り、そもそも達成したかった目的と現状の比較を行うことにより、業務改善やシステム活用への道となる場合もあります。また、最近ではQuickbooksやSage 50を代表とする経理ソフトの機能も充実してきているため、経理ソフトにダウングレードしながら業務改善とシステム保守・運用コスト削減を行うケースも増えてきています。

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