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Health Flexible Spending Accounts (FSA)がよりフレキシブルに

(2013年11月13日発行記事です)

Health Flexible Spending Accounts (FSA)がよりフレキシブルに

Flexible Spending Accounts (Flexible Spending Arrangementsとも呼ぶ)、略してFSAについて新たな動きがありました。10/31/2013のThe U.S. Department of the TreasuryとIRSの発表によると、 Health FSAで未使用となった金額を、最大$500まで翌年のHealth FSAプランに繰り越しできるよう、FSAプランを変更することが可能になりました。これによって、今まで未使用となった金額は失うことになるという「Use-or-Lose」ルールがなくなりFSAはよりフレキシブルなベネフィットになります。

FSAとは?
FSAとは、雇用者が従業員に対して提供する節税プランの一つで、従業員はFSA用に一定の金額を決め(最大$2,500までの拠出)、その金額を給与から税引き前控除することができます。すなわち、FSAとして控除した金額分だけ給与の課税対象額を下げることになるため、節税となります。 そのFSAとして控除した金額で、保険でカバーされない医療費を支払うものをHealth FSAと呼びます。

FSAは1年サイクルのプランで、そのサイクルをPlan Yearと呼び、Plan Yearの始まりは雇用者によって決めることが可能なので、 FSAのPlan Yearが01/01~12/31というCalendar Plan Yearの雇用者もいれば、Non-Calendar Plan Year(例えば10/01~09/30)の雇用者もあります。Health FSA用の拠出額は、Plan Yearが始まる前に予め決めなければいけないので、拠出額を決めるには、Plan Yearの1年間でどれぐらい医療費を使う予定か、事前に考える必要があります。なぜなら、もしHealth FSA用に決めた金額が、Plan Year内で実際に使用した医療費よりも多かった場合、未使用のHealth FSA用の金額は戻ってこないからです。

なぜ今回の変更にいたったのか?
Health FSA用に決めた金額が、Plan Yearで実際に使用した医療費よりも少なかったら、「もっと拠出しておけばより節税できたのに」と後悔します。 逆に、Health FSA用に決めた金額が、Plan Yearで実際に使用した医療費よりも多かったら、未使用の金額は戻ってきません。 Health FSA用に決めた額は、使わなければ失う金額になってしまいますので、 Plan Year終了直前に、何とか使おうとして必要のない医療費が発生することもあります。

節税したいが、この「Use-or-Lose」のルールのために、FSA参加を躊躇したり、参加してもHealth FSA用の金額をあまり高い金額に設定しようと思いません。そうなると、そもそも節税プランなのに、その魅力が劣ってしまいます。そこで、Health FSAで未使用となった金額を$500まで翌年のHealth FSAプランに繰り越しできれば、Health FSAプランがより魅力的になります。

今回の変更内容とは?
概要は下記のとおりです。

• Health FSAで未使用となった金額を、最大$500まで翌年のPlan Yearに繰り越しできるよう、雇用者はプランを変更することが可能。
• ただし、もし現状のHealth FSAプランに「Grace Period」という、Plan Year終了後から2ケ月と15日間までにかかった医療費であれば 未使用のHealth FSA用の金額から支払っても良いというルールがある場合、この「Grace Period」ルールを削除しなければ、未使用分の繰り越しを取り入れることが出来ない。
• プランを提供している雇用者が、この変更を取り入れるかどうかを決めることが出来るので、この変更を取り入れないことも可能。
• もし取り入れるのであれば、雇用者が翌年のPlan Yearへの繰越額の上限を決めることが出来るが、$500以上の繰越額は認められない。
• この変更を行う場合、雇用者は定められた期間内にプラン変更を書面にて行い、参加者全員にこの変更の通知を行う必要がある。
• 繰り越しを取り入れてもHealth FSAの最大拠出額である$2,500/Plan Yearは変わらないので、$2,500を拠出し、さらに前年度からの繰越額が$500であれば、 $3,000が使用できるHealth FSA額となる。

この変更の詳細や例は、下記のIRSのウェブサイトにてご覧いただけます。
http://www.irs.gov/pub/irs-drop/n-13-71.pdf

今回の変更で何が予想されるのか?
もし雇用者が現在のHealth FSAプランに未使用金額の繰り越しを取り入れたとすると、以下のことが予想されます。

• 今まで「Use-or-Lose」ルールがあったからHealth FSAに参加しなかった従業員がプランに参加し、Health FSAプランの参加人数が多くなる。
• Health FSAに参加していた従業員の拠出額が、より高い拠出額となる。

すなわち、従業員によるHealth FSA拠出額が多くなることによって、雇用者が負担する税金の課税対象額も下がるので 雇用者もSocial Security TaxやMedicare Taxなど、雇用者負担分の税金に対してより節税できることになります。

FSAを提供している雇用者は、この変更を取り入れるかどうかを検討してみるとよいでしょう。

誰でもわかるリタイヤメント講座 第5回

前回は、リタイヤメントプランの運営維持費用を高い、普通、 安いで以下のように分類しました。

高いプラン
- Defined Benefit Plan (DB)

普通のプラン
- Profit Sharing Plan (DC)
- 401(k) Plan (DC)

安いプラン
- SEP IRA (DC)
- SIMPLE IRA (DC)

そして、DB Planはアクチュアリー(保険数理人)という特殊な技能を持ったプロを雇う必要があるため、お金がかかる、という説明をしました。
それでは、それ以外のDC Planはどうでしょうか。DC Planは、DB Planほど高くはないがコストがかかるプラン(Profit Sharing Planと401(k) Plan)と、コストが安いプラン(SEP IRA, SIMPLE IRA)とに分かれます。これらは、何が違うのでしょうか。

そもそも、雇用者がこういったプランを作る際は、「従業員のために作る」という動機よりも「節税がしたいから」「自分のリタイヤメント資金をなるべく多く確保したいから」というオーナー/経営者都合の動機から入るケースが多いものです。そこで、起こり得るのは、雇用者が従業員へのベネフィットを最小化し、自己のベネフィットを最大化しようとする動きです。IRSは、これを嫌います。

本来、こういったリタイヤメントプランが成立する背景には、雇用者が国に代わって福利厚生を国民(従業員)に提供し、その対価として、税控除を得られるという、雇用者と国との取引関係が存在します。それなのに、雇用者が経営者やオーナーだけを優遇して都合良く税控除だけ受ける、という状態をIRSは許さないのです。

したがって、どのDC Planを見ても、従業員のベネフィットが雇用者のベネフィットよりも著しく低くなり、不公平とならないよう、ルールが決められています。このルールが簡単なほど、雇用者がそれを守っているかを見極めやすいのでコストが安く、 ルールが複雑なほど、雇用者側が違反をしていないことを証明するための記録/計算を行う分、コストが高い、と言えます。

それでは、コストが安いプランから見てみましょう。まずはSEP(Simplified Employee Pension) IRAです。このプランは、「給料の○%」を雇用者が従業員のアカウントに与える、というルールとなっています。パーセンテージが決まったら、後はどんな給料レベルの人であっても、その割合の金額が雇用者によって各アカウントに振り込まれることになります。リタイヤメントプランの中では最もシンプルでわかりやすく、雇用者がルールを守っているかどうかの検証が極めて簡単です。

次にSIMPLE(Savings Incentive Match Plan for Employees) IRAです。こちらは、従業員が自分の給料の中からリタイヤメント用に設けられたアカウントに拠出します。それに対し、雇用者はその従業員の給料の3%までは「マッチング拠出」と称してお金をアカウントに入れなければなりません。

もしくは、雇用者はマッチング拠出の代わりに、給料の2%の金額を、それぞれの従業員のアカウントに一律拠出することもできます。SEPほどわかりやすいプランではありませんが、雇用者の拠出が「マッチ3%」か「一律2%」か、という決まった数字の縛りがありますので、検証は比較的簡単です。

どちらのプランも、一旦アカウントに入った金額は、雇用者のコントロールを離れ、全て従業員が受け取る権利を持ちます。両方とも、プランをセットアップする時には特別なファイリングなどを必要とせず、拠出の記録をとり、必要な開示さえ従業員に行えば、運用中も特別にIRSに申告すべきことはありません。IRSは、度々行う監査によってのみ、これらのプランを取り締まります。

これらのプランに対して、ルールが少し面倒で、コストがかかるのプランが、Profit Sharing Plan、および401(k) Planになります。これを次に見ていきたいと思います。

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