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求人募集と採用決定における留意点

(2013年10月9日発行記事です)

求人募集と採用決定における留意点

面接で聞いていいこと・いけないことが留意点であることは一般的に知られていますが、募集要項の内容や人材を選ぶ際に用いるテストの内容も落とし穴になりえます。「こんなところでも注意が必要なの?」という留意点をケーススタディを通しご案内します。

<募集要項に、高校卒業していることを条件にしていたら人種差別だと訴えられた。>

Willie Griggs氏が1971年に、当時炭鉱夫 (Coal Handler)のポジションで募集をかけていた、アメリカのDuke Power社の採用基準に対し、人種差別だと訴え、勝訴したケースがあります。

Griggs氏の訴えは、炭鉱夫として仕事をするのに学歴は関係ないこと、そして学歴を必要とする事により、アフリカン・アメリカンなどのマイノリティ層を間接的に差別している(Disparate Impact)と言うものでした。Duke Power社の人材募集要項には、「高校卒業資格」という条件が入っており、これにより、ある特定のProtected Group(このケースではアフリカン・アメリカン)の多くが必然的に除外されていました。学歴が白人 (マジョリティ)に比べ、平均的に低いマイノリティ層に対する差別だとの訴えでした。

その結果、企業の採用における差別は、「マイノリティだから不採用」と直接言わなくても、学歴などのバリアで間接的に不採用にすることも、差別としてカウントする事と定められました。 また、この訴訟で決まったもう一つのことは、募集時の「応募必須条件」は、直接業務に関連していないといけないということです。日系企業でよく見られるのは、「永住権保持者」「Native Japanese speaker」ですが、どちらも採用すべきではありません。言語においては日本語が母国語でないと業務遂行できないことを証明できないと、日本人以外を人種差別していると判断されてもおかしくありません。

さらにこの決定事項は、採用時だけでなく、昇進・昇格などの人事決定の基準となる条件や、適性判断などのテストなどにも適応されます。 日本では学歴や年齢を基準に採用活動をすることはよく見受けられますが、人種差別の歴史があり現在もそれが根深く社会問題として残っているアメリカでは、より注意が必要です。こういうケースがあることを理解し、採用や人事考課の際に参考にしてください。

誰でもわかるリタイヤメント講座 第4回

前回は、DB PlanとDC Planの定義と、その主な違いを解説しました。

DB Planは「将来の年金を約束するタイプ」、DC Planは「将来の約束をせずに現時点で支給し、従業員に運用させるタイプ」、と言うことができます。

しかし、経営者がどちらかを選ぶ状況になった時に、「う~ん。私は従業員の将来を安心させるためにDB Planを使おうか、それとも、自由に投資できるDC Planにしてあげようか」と悩むことは、普通ありません。

ほとんどの場合、「コストがいくらかかるか」「どれくらい節税できるか」この2点が主な考慮ポイントになります。それでは、まずは運営コストがどれくらいかかるか、という観点でこれらのプランを見てみましょう。なお、ここでは投資に関わるファンド費用などは含めません。あくまで企業が投資商品とは別に支払わなければならない運営の費用だけを考慮しています。

結論から先に言うと、高い、普通、安いで分類した場合、リタイヤメントプランを以下のように分けることができます。

高いプラン
- Defined Benefit Plan (DB)

普通のプラン
- Profit Sharing Plan (DC)
- 401(k) Plan (DC)

安いプラン
- SEP IRA (DC)
- SIMPLE IRA (DC)

上記を覚えておけば、これだけで大分リタイヤメントプランを絞り込むことができます。予算があまりない企業に関しては、安いプランであるSEPやSIMPLEから考えれば良いのです。逆に、予算を多くとれる企業については、高いプランを考える余地があります。

それでは、DB Planの運営コストはなぜ高いのかを説明しましょう。

DB Planというのは、給付が確定している、つまり企業が従業員が将来受け取る年金額を今、現時点で約束するプランです。そうすると、将来いくらの金額を従業員に支払わなければならないかを計算し、今から計画的に積立をはじめておかなければなりません。

たとえば、10年後に、従業員に対して、100万ドルの年金原資が貯まっていなければならない、という計算結果が出たとしましょう。運用益が0%とすると、これから毎年10万ドルをコンスタントに10年間貯蓄していかなければならない、ということになります。企業は、DB Plan Trustというトラスト名義で投資アカウントを作り、このアカウントに毎年10万ドルを入れて貯蓄・運用を続けることになります。

10年後に100万ドル、想定運用益が0%であれば、計算は簡単ですが、実際にはもっと計算は複雑です。従業員の入れ替わりなどにより年金目標額が変わったり、想定する運用益が実際に得られなかったりすると、再計算をしなければなりません。

この「将来の年金想定額から、現在の積立金額を計算する」専門家のことをアクチュアリー(日本語訳:保険数理人)と呼びます。アクチュアリーは確率・統計学を駆使する高度な計算技術を持った保険・年金計算のプロで、アメリカでも数千人しかいない特殊な職業です。

DB Planを作ると、必ずアクチュアリー資格を持ったプロを年間数千ドル、従業員数が多い場合には数万ドルの費用で雇い、この年金積立計算を行ってもらわなければなりません。 これが、DB Planの運営コストが高くなる理由です。計算が高度だから、外部のプロにお金を払わなければならない、というわけです。

一方、DC Planはこのような高度な計算を必要としません。将来の約束がないわけですから、今年いくらを各従業員のアカウントに入れるか、それさえ決まれば良いのです。ただ、DC Planの種類によっては、それなりに運営コストがかかるプランと、ほとんどかからないプランがあります。次回は、このDC Planのコスト構造について見ていきたいと思います。

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