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グロスアップの基礎知識 7 (連邦税と州税)

(2010年8月の発行記事です)
一口に税計算と言っても働いている場所、住んでいる場所で支払わなければいけない所得税は大きく異なります。連邦税とはいわゆる国に納める税金ですので、アメリカのどこに住んでいても支払わなければいけない所得税です。一方州税は、勤務している州、もしくは、居住している州に支払う所得税となってきます。テキサス州やワシントン州などは州の所得税がないので、連邦税だけを支払う事になります。
一方、オハイオ州やペンシルベニア州など州税に加えローカルタックスと呼ばれる地方税が存在する州もありますので注意が必要です。つまり、日本からの海外勤務者がどこで働くか(住むか)によって発生してくる所得税の種類が異なりますので、グロスアップ計算で算出する納税額もその場所によって大きな違いがでてきます。例えば同じ手取り年収、同じ家族構成であっても、州税の存在しないテキサス州にいる勤務者と州税が非常に高いニューヨークにいる勤務者とでは、発生してくる所得税額が極端に違ってきます。所得税は会社が負担するわけですから、給与コストに大きな違いがあることを意味します。

連邦税については一律同条件で課税されるわけですが、ここでは違いの大きい州税やローカル税の特色を説明したいと思います。

1. 所得税のない州

不思議に思われるかもしれませんが、アメリカにある51州のうち7州は個人所得税がありません(Alaska, Florida, Nevada, South Dakota, Texas, Washington, Wyoming)。New HampshireとTennesseeについても、給与に対する個人所得税はありません。固定資産税が高いなど、別のところで税収を補っているのでしょうが、会社にとっては給与コストが低く抑える事ができるのでありがたい州です。

この合計日数が183日未満であれば当該年度は非居住者として申告できます。逆に、当該年度が183日未満であっても、この合計日数が183日を越えてしまうと非居住者として申告できません。常に非居住者が有利とは限りませんが、米国源泉所得だけを申告すればいいので、利子所得やキャピタルゲインなどが非課税であったり、冬の賞与を全額申告する必要がないなど利点は多いと思います。 正直、IRSが過去2年間の米国滞在日数を把握しているとは到底思えませんが、ルールはルールなので会計事務所ではこの計算をしています。

2. 税率の高い州、低い州

かかる最高税率が高いのは、Hawaii, Oregon (11%), New Jersey (10.75%), California (9.55%), New York (8.97%) などで、逆に税率が低いのは、Illinois (3%Flat), Indiana (3.4%Flat), Pennsylvania (3.07%Flat) などです。 New Yorkの場合、マンハッタンなどのNY市内に居住している場合は、この州税に加え市税(4%弱)がかかるので、非常に高い税金になってきます。

3. 地方税(ローカルタックス)のある州

代表的なところでは Ohio, Pennsylvania, Kentuckyなどで、Indiana, Michiganなども地域によってローカルタックス、カウンティータックスがあります。 特にOhioとPennsylvaniaは非常に複雑で、住んでいるStreetが一本違うだけで納税すべきローカルタックスが変わってきます。働いている地域に払う、住んでいる地域に払うなど、状況によっても違いがあるので、グロスアップする際は勤務地住所、居住地住所を把握して、個別に調べてから計算を始める必要があります。
間違った地域に支払ってしまった場合、確定申告で調整が可能な場合もありますが、とにかく面倒なので源泉の段階で正しく処理することが肝心です。

4. 州間協定(Reciprocal Agreement)がある州

給与からの源泉は基本的に「勤務している州」の所得税を引く事になっていますが、州の間で協定がある場合は「居住している州」の所得税を源泉しなければいけない事になっています。例えば、DCで勤務していてVirginiaに居住している場合、源泉すべき所得税はDCではなく、Virginiaとなります。DC近辺以外でも、中西部の各州やPennsylvaniaなどでもよく見かけます。

5. State Disability Insurance (SDI)

これは所得税ではありませんが、CaliforniaとNew Jerseyは従業員から源泉徴収することを義務付けています。仕事上以外の理由(出産など)で勤務できなくなった場合に給与の一部を補償する保険の意味合いのある税金です。
Californiaは税率1.1%で年間$1,026.48(2010年)まで、New Jerseyは税率1.045%で年間$310.36(2010年)まで支払う必要があります。

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