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グロスアップの基礎知識 5 (居住身分)

(2010年8月の発行記事です)
課税すべき所得と個人情報が揃ったところで次に考えなければいけないのは、その人がどのような居住身分になるか、です。居住身分には大きく3つに分類され、「居住者(Resident)」、「二重身分(Dual Status)」、「非居住者(Non-Resident)」があります。赴任者や帰任者の居住身分の判定基準は 「Vol.8 新規赴任者、帰任者の申告書」をご参照ください。一年を通じて米国に居住している人は、例外を除き(Fビザ、Jビザなど)「居住者」となり、日米を問わず全世界所得が課税対象となってきます。 この居住身分が決まると自ずと確定申告書が頭に浮かんできます。既婚者の場合、渡米が年の前半であれば赴任前に日本の所得も申告して「居住者」を選択することになりますが、その理由を少し詳しく説明てみます。

既婚者で3月1日に米国に赴任した人を例にとってみます:

1. 赴任前の日本での所得を米国に申告する

3月1日に赴任ですから、2月28日までは日本に居住し、日本で所得税が源泉されています。つまり1月1日~2月28日は日本居住者、3月1日以降が米国居住者となります(二重身分)。ところが、この赴任前の日本の所得も課税対象所得として申告することで「二重身分」を「居住者」とすることができます。一見余計な所得を申告するようで損をする感じを受けますが、既婚者の場合、「二重身分」と「居住者」の間では大きな税率の違いがあります。

2. 夫婦別申告 vs 夫婦合算申告

既婚者が「二重身分」で申告した場合、適用する税率は夫婦別申告レート(Married Filing Separate Rate)となります。一方、「居住者」で申告した場合は夫婦合算申告レート(Married Filing Joint Rate)で税金を計算する事ができます。Joint Rateの方がSeparate Rateよりはるかに有利な税率となっています(端的な言い方をするとかかる税率が半分)。 よって、たとえ赴任前の2か月分の日本での所得を申告したとしても、この有利な税率を適用できるので結果として節税につながります。

3. 外国税額控除

更に、日本で支払った所得税を外国税額控除として米国で発生する税金から差し引くことができます。2か月分の所得しかなければ、年末調整で全額本人に還付されるでしょうから最終的には税額控除はないかもしれません。

4. 配偶者の渡米前の所得

ここで注意しなければいけないのは、その赴任者の配偶者が渡米前に所得があるかないか、あるとすればどのくらいの所得水準かを見ることです。 夫婦合算申告、というくらいですから、本人だけではなく配偶者の所得も合わせて申告することになります。もし配偶者が渡米前に大きな所得があれば、居住者として二人の年間所得を申告しないで、二重身分として「渡米後だけの所得」で申告した方が税金が少なくなることもあります(基本的に配偶者は渡米後に所得はないので)。

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