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グロスアップの基礎知識 2 (課税対象所得)

(2010年5月の発行記事です)
前回の基礎知識1で、正しいグロスアップ計算はADPグロスアップのような単純な計算ではない事がわかりました。では、実際にどのような根拠で計算しているのかを説明いたします。

課税対象となる所得

通年居住者の場合は、全世界所得が申告・課税となりますので、とにかく1年間の所得合計(日米)が課税対象所得となってきますので単純明快です。 一方、赴任者や帰任者のように、「非居住者(Non-Resident)」や「二重身分(Dual Status)」になると、何を申告・課税しなければいけないかが非常にわかりにくく、細かな計算が入ってきます。また、状況によっては「日米租税条約」を考慮しなければいけないケースもでてくるので、専門知識がないと計算できません。 申告する所得の金額が間違っていれば、いくら正しい税率でグロスアップ計算しても意味がありません。

居住身分の選択は会計事務所に任せるとして、会社の担当者としては少なくとも以下の点は理解しておく必要があると思います。

1. 賞与の取扱い

① 183日ルールにより非居住者の身分となった場合
年の後半に赴任し「非居住者」での申告身分となる場合、赴任後12月に受け取る賞与のうち、その査定期間が日本在住期間にかかる部分は申告の必要がなく、米国の税金はかかりません。これは、日本在住期間分に相当する賞与は米国源泉所得に該当しないためです。

② 帰国後、日本で受け取る賞与
上記1)とは別に、帰国後に受け取る賞与のうち、その査定期間が米国在住期間に かかる部分は米国への申告・課税が必要となります。これは帰国後(米国非居住者の期間)に受け取った賞与のうち、米国在住期間分が米国源泉所得に該当するためです。

2. 外国税額控除

非居住者申告では関係ありませんが、それ以外の申告形態の場合、日本で支払った税金が、米国の申告書で外国税額控除として米国の所得税から差し引ける場合が あります。赴任の年のみならず、赴任2年目でも日本の税金を支払う場合もあります。注意すべき点は、この外国(日本)で支払った税金は最終納税額でなければなりません。赴任年の場合、日本を出国するまでは年間居住者の前提で源泉されており、年末 調整(基本出国時)で最終調整を行います。多くの場合、その年末調整で税還付を受けることとなり、最終納税額は源泉された金額より小額となります。つまり、赴任前に毎月支払った源泉税の合計額を税額控除してしまうと「過剰の控除」となり、間違った申告書となってしまいます。年末調整後の金額が最終納税額となります。会計事務所に報告する際は、源泉徴収票などの最終納税額が明記されているものを根拠とする必要があります。

3. 個人確定申告の結果

ほとんどの企業は個人確定申告における追加納税を会社が負担し、還付があった場合は本人から戻し入れをさせていると思います。アロケーションをしている場合でも、一部は会社が負担(戻入)しています。
本来本人が支払うべき税金を会社が補填するわけですから、その追加納税分は本人の所得として認識する必要があります。逆に、還付金を戻し入れしている場合は本人の所得をマイナス調整しなければいけません。アロケーションをしていても、会社が負担(戻入)している部分は同様の処置が必要です。帰任者の場合、確定申告は本人が既に帰国してしまっている翌年に行われます。しかし、前述の理屈はこの帰任者にも該当しますので、原則的には追加納税があった場合は本人の所得として給与処理をする必要があります。還付の場合はマイナス 調整すべきですが、相殺する所得がないので調整のしようがありません。追加納税の金額が小額であれば給与処理をしなくても大きな問題にはならないかもしれませんが、高額の場合は要注意です。また、州からの還付金は翌年の連邦の申告書において課税所得となりますので、金額が大きいと確定申告書を提出しなければいけない事態に陥る事もあります(本人がまったく米国にいなくても)。

その他、課税対象となる所得については「Vol.4 課税対象となる所得とは何?」をご参照ください。

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