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給与処理会社の変更

(2010年4月の発行記事です)
ほとんどの企業は税金の納税や給与振込の代行を給与処理会社に委託しています。代表的なところでは、ADP、Ceridianなどがあり数多くの企業が利用しています。ただこの2社は他社に比べ費用が高いという声をよく聞き、ベンダーの変更を検討している企業も多いようです。最近では、その2社の何分の一かの費用で同様のサービスを行うサービスベンダーも出てきています。

では、どのようなところに注意してベンダーの変更を検討すべきか考えてみましょう。なお、あくまで一般的な話であり、それぞれのベンダーを評価するものではありませんので予めご了承ください。

1. サービス内容

サービス内容はほとんど同じと思われ、以下のようなサービスが含まれているはずです。
基本は「納税」、「給与振込」、「報告」の3つです:
① 毎回の給与から発生する税金を会社の口座から引き落とし、税務当局へ納税する
② 従業員の毎回の手取額を銀行振込で個人の口座へ入金(送金)する
③ 毎回の給与レポート、および、個人給与明細書を作成し会社に送付する
④ 四半期毎の給与申告書を作成し、会社に代わって税務当局へ提出する
⑤ 年間の申告書、報告書を作成し、連邦や州の関連当局へ提出する
⑥ 源泉徴収票に該当するForm W-2を作成する(従業員向け)
⑦ 税務当局からのNoticeに対応する
などです。

2. 費用

ほとんどの場合、上記サービスすべてを委託していると思います(分離も可能ですが)。 費用の構成は、一回の給与処理につきベースとなる費用があり、それに一人あたりの費用が加算されるのが一般的です。州の数が多ければそれだけ費用もかかります。さらに、Direct Deposit、明細書の袋詰めなどに対する費用など付加されてきます。毎回の給与レポートの送付費用は実費で請求してきます。どこも同じような費用請求の形態と思われますが、それぞれのサービスの単価の違いから、全体的にかかる費用の違いが起きていると思われます。

3. オペレーティング・システム

基本的にインターネットでのオンラインシステムで情報の入力をしています。それぞれが独自に開発したプログラムなので、使い勝手や特徴にはかなり違いがあります。 ADP はもともと給与処理に特化したプログラムなので、毎月の給与処理では使い勝手もよく、レポートも非常にわかりやすくつくられています。仮計算(Preview)の段階で、最終納税額が確定できるのも利点です。 Ceridianは対照的にHRの部分が非常に優れていますが、給与処理に関してはプログラムが複雑でレポートも見やすいとはいい難いものです。現地社員が多く、HRの部分が充実していなければいけない場合はCeridianを使う傾向にあるようです。 その他のベンダーは、すべてではありませんが、一定数の社員の給与を処理できないとか、情報を流し込む(Import)ができなかったりする問題があるようです。納税の仕組みも大手2社にくらべシステムが完備されておらず、支払い先によっては手作業的な部分もあり不安が残ります。

4. 問題が発生した時の対応

ADP はCAにTax Departmentを設け専門チームが専門的に対応しています。調査結果は書面で通知してきますので安心ではありますが、まかせっきりにしているとお蔵入りになっていたりするので注意が必要です。電話に対応するRepresentativeは知識も浅く、電話での回答は信じない方がいいでしょう。
Ceridian は基本的に担当者が付き、いろいろな問題の窓口になってくれます。いい担当者にあたると知識も経験も豊富ですが、そうでないといろいろ手間取る事もあるようです。 その他のベンダーは、担当者がまったく問題を理解できなかったりすることもあり、解決の糸口を見つけるのに苦労することもあります。大手2社に比べ、知識、経験が不足していると感じることも多く、費用の違いはここにあるのかと想像します。

5. 会計事務所などのサポート

日系企業、特に駐在員・出向者の給与実務は会計事務所などを介している場合が多いと思います。そうであれば上記3番、4番の問題は彼らが対応するので直接的には関係ありませんので考える必要はないかもしれません。ただ、「過去に遡っての修正申告」などをする場合、スムーズに事が運ばないと時間がかかってしまい、追加請求させる可能性もありますのでその点は留意する必要があるでしょう。

総括して考えると、大手2社からのベンダー変更に向いていると考えられる会社は以下のような状況にある場合と考えられます。

  • システムへの入力、および、問題への対応を会計事務所などが代行する
  • 支給対象となる従業員数が少ない (例えば20人以下など)
  • 拠点数が少ない(源泉納税する州やローカルが少ない)
  • 支給日間際での情報の変更がほとんどない
  • 課税、非課税の控除項目が少ない

つまり、シンプルな給与処理であれば安価なベンダーを選択したとしても大きな問題が起きる可能性は低い、という結論です。

給与レポートや申告書を見て問題があるかどうかを判断するのはやはり専門的な知識が必要です。1年後、2年後に税務当局からNotice(追徴の通知)を受け取ることになりますので、その時、その時を適切に処理していく事が肝心です。 費用が高い、低いだけで選ぶと、後々面倒なことにもなりかねませんので、専門家の意見を聞いて判断する事をお勧めいたします。

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