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第6回 経理業務での手の抜き方

(2012年12月19日の発行記事です)
年末が迫って参りました。12月が決算の会社では、何かと忙しくなる時期ですが、今回は経理業務でうまく「手を抜く」方法を考えてみたいと思います。「手を抜く」と言うと、何か悪いことをしているような印象を持ちますが、ここでお話しする内容はあくまでも「US GAAP」(米国会計原則) に則った かたちで、いかに早く効率的に業務をこなすかに絞ってお話していきます。
「効率化/合理化」と「早期化」を促進する方法を説明しましょう。

効率化/合理化の促進

経理業務は、全般的に細かく反復的な作業が多いのが特徴です。そのため、Excelや経理システムに装備されているツールを使用して効率化を図るのは比較的簡単です。 ただ中にはなかなかシステム化をするのが難しい作業があるのも事実です。

多くの方から聞くのは、Expense Report は何とかならないか?といった質問です。Sales Representativeを多く抱える会社では、出張精算費や交通費、その他接待費など多岐に渡る費用が発生して、レシートと申請金額の照合やシステムへのデータ入力など非常に手間のかかる作業が発生します。レシート照合などの作業はやはり人間の目が頼りです。 限りあるマンパワーを適切に使うためにも、どのようにしたら合理的に作業を行うことができるのかは重要課題ですね。合理化を促進するためには、経費精算のルールなどを根本的に見直して、なるべく負担が少なく処理できる方法を取ると良いでしょう。例えば、現時点で精算頻度のルールがない場合には、すぐにでもルール設定を行う事をお勧めします。

精算回数が少なければ、当然経理部での負担が減ります。例えば、25日締めで末日支払といったルールを設定すれば、今までばらばらと提出されるごとに支払をしていた手間を省くことができ、作業を行うスタッフも25日から末日まではExpense Report作業が入ると分かりますので、業務予定を立てやすくなり、月間作業のルーティンが出来上がってきます。今までの精算方法が当たり前となっていた社員からは、この「変化」に対する不満の声が出てくるかも知れませんが、効率化を図るための全社的な取り組みであることを説明し、理解してもらえるよう努力が必要です。

また、精算内容をシステムに入力する際にどれぐらい細かく入力するかによって作業時間が変わってきます。精算書に記載している通り、ラインごとにひとつずつ入力する必要は必ずしもありません。営業担当の田中さんの今月の精算書には、全部で20ラインあったと仮定します。1ラインごとに入力すると20ライン分の入力が必要となりますが、その内訳が Travel / Office Supplies / Entertainmentに分類できるのであれば、この合計額を1ラインずつ入力することで3ラインのみで入力が完了します。精算書にこの合計が自動で表示されるようにしておけば更に効率的です。過去1年間で、入力済みExpense Reportの詳細を確認した回数を考えてみてください。どれぐらいの件数がありましたか?それほど多くないはずです。システム内での記載を "Expense Report for December 2012 (See the report for details)"などと記載しておけば、必要なときに実際のExpense Reportを見に行けば良いわけです。最近では経費精算用のソフトウェアーも多く出回っていますので、システム化してしまうのも合理化を推進する手段のひとつです。

別の合理化促進方法として、キャッシュレス・ペーパーレスが挙げられます。Petty Cashをまだ置かれている場合には、クレジットカードもしくは立替して経費精算する方法に変更することで、面倒なCash Reconciliationが必要なくなります。また、全ての入力項目ごとに「伝票」を起こしている場合には、本当に伝票が必要なのかどうか見直しを行われると良いでしょう。しっかりと確認が行われ、その伝票が機能しているのであれば継続されても問題ないと思いますが、「今まで続けてきたやり方なので」とか「実は内容は確認せずサインしてます」など運用目的が満たされていない場合には廃止を検討する余地もあるのではないでしょうか?内部統制上廃止ができない場合でも、オンライン化できないか?など別のアプローチを考えると効率化の糸口が見つかるかも知れません。

皆さまの職場でも、「他に良いやり方ないかな?」と疑問をもつ業務があれば是非見直してみてください。疑問を持つことから効率化がスタートします。

早期化の促進

日本本社でのIFRS (International Financial Reporting Standards) 導入に際して、連結対象子会社と親会社との決算期の統一が多くの会社で実施されようとしています。今まで米国法人は12月決算、本社は3月決算といった期ずれがある場合には、日本の決算までに間に合えば良いため米国法人の「連結パッケージ」提出期限に余裕がありました。IFRSを導入するとなると、親会社と連結子会社は同じ決算期である必要性が生じてきます。そうなるといままであった3ヶ月の猶予がなくなり、最短で2週間以内にパッケージを提出しなくてはいけないといった事態が発生します。年度末だけではなく、4半期ごとのレポート期限も今までより厳しくなります。 さまざまな対策を講じていかに早く決算を終わらせるのか頭を悩ませるところですが、いくつか早期化実現のヒントになる項目を紹介したいと思います。

1. Sales / Purchase Data の正確性

決算を行う上で、「売上げデータが上がってこないために決算業務が滞ってしまう」なんてことありませんか?このような場合には、どれほどの精度で売上げと仕入れ・原価データが必要になるのかをまずは認識する必要があります。売上げデータが決算締め日の前日にやっとあがってきて、それから夜遅くまで必死に働いて財務諸表を仕上げたものの、社長が確認したいのは大まかな営業利益率だけだったなどということは結構ある話しです。4半期、半期、年度末決算ではある程度精度の高いデータを提出する必要はあるかも知れませんが、月次ではもしかしたら高い精度のデータは必要とされてないかも知れません。このようなケースでは、とりあえず月次は入手できたデータを入力して、必要であれば見積もりで調整を入れておく程度で事足りてしまいます。営業利益が予想付くケースでは、売上げデータから仕入れ金額も予想がつくはずです。更に、売上げデータの作成部署に協力を要請して、月中で一度データをもらうようにすると 月前半のデータ確認作業を決算前に行うことができるため、決算時の負担を軽減することができスピードアップにもつながります。

2. Cash / Bank Account Reconciliation の定期化

Bank Reconciliationは決算で行うものと思っていませんか?チェック発行枚数が膨大だったり、入金件数が多いとBank Reconciliationに必要とされる時間はかなりのものになります。 このような場合には、月中で一度 Bank Reconciliationを行っておくことによって決算時の負担を軽減させることができます。ただし、月のチェック発行が30枚程度なのに、わざわざ月中にBank Reconciliationを行うのでは逆に無駄な作業となります。当社の経験からすると、大体150件のトランズアクションがある会社では 月中のBank Reconciliationのメリットを感じてもらえると思います。

3. Bottle Neck の認識

決算早期化を実現しようとする場合、やり方は色々ありますが、下記のようなステップが考えられます。

  • 現在の決算業務内容と必要時間を一覧にする
  • 目標とする締め日を明確にする
  • 日本以外の国から米国に赴任
  • 現在と目標とのギャップを認識する
  • ギャップを埋める方法を検討する
  • 新しい業務フローを作成・実践する
  • 実践後、問題があればフローを改善する

この中で一番重要なステップは、「現在と目標とのギャップを認識する」ことです。このステップでどこにギャップがあるのかを明確にできれば、あとは解決方法を見つけることに注力できます。どこに問題があるのかが分からないまま、やみくもに早く業務を終わらせようとしても必ずどこかで壁にぶち当たります。今あるボトルネックはどこなのかをまずは明確にしないと、早期化の実現はほぼ不可能でしょう。ボトルネックが見えたら、どうしたらそれを解決できるか、解決のためには誰 (部署) に協力を要請する必要があるのかを検討していきます。1. に関連しますが、無駄に精度の高いデータを求めるがために多くの時間を費やしている業務はなるべく排除して、目標とする時間で決算が終わるようにフローを確立していきましょう。監査を受けている場合には、監査人と最終的なフローの確認を 行う必要がありますので注意が必要です。

今後、IFRS導入によって早期化は避けて通れない道ですので、今のうちから現在の業務見直しを始められると良いのではないでしょうか?

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