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第5回 連結パッケージ作成の効率化

(2012年12月9日の発行記事です)
日本本社への財務報告に必要以上に時間がかかっていませんか?
今回のメールマガジンでは、「連結パッケージ作成の効率化」について、事例を通して解説いたします。本事例では「連結パッケージ」を取り上げていますが、「月次報告書作成」や「連結ソフト(DIVA)への入力」などでも同様に効率化が可能です。

*連結パッケージとは
連結財務諸表作成に必要なデータを収集するための書類/ファイルの総称。
通常はエクセルファイルを使うことが多い。各子会社は親会社から送られて来た書類/ファイルの該当欄にデータを入力し、提出する。
BS、PL、CF作成に必要なデータだけでなく、連結修正仕訳に必要なデータや連結財務諸表の注記や開示項目に必要なデータも含まれる。

<JPCアメリカ社の事例>

2011年、田中氏はJPCアメリカ社にセールスVPとして着任。
担当のセールス以外に、経理や人事業務などもスーパーバイズしなくてはならない。
彼が頭を痛める問題の一つに「連結パッケージの作成」がある。
かなりの時間をかけ注意深く作成しているのだが、本社からの再提出/修正要請がくることも少なくない。
自分が気づかないところで間違いをしているらしい。
これに加え、JPC本社では、2012年から決算の早期化が進められることになった。
もちろん決算の早期化はJPC社にとっては不可欠なのだが、連結パッケージ作成にかかる手間と時間を考えると、
これ以上の負担は無理だ、というのが田中氏の正直な気持ちだった。
このような状況の中、田中氏は弊社パソナに相談に来られた。

(上記ケースは、これまで弊社が経験した複数のプロジェクトを基に構成したものです。登場人物や団体名は仮名です。)

JPCアメリカ社の田中氏から相談を受け、弊社パソナでは下記のステップで連結パッケージ作成の効率化をお手伝いしました。

ステップ1:疑問点、不明点を抽出する

連結パッケージでどのようなデータが求められているのかを把握し、同時に、クライアントが使用している会計システムからどのようなデータが収集できるのかを調査、確認しました。
また、それまで連結パッケージを担当していた田中氏に主な問題点などを伺いました。
その後、クライアントが米国側で使用している勘定科目と連結パッケージの勘定科目の「仮Mapping」作業を行ない、疑問点や不明点を洗い出し懸案リストを作成しました。

ステップ2:日本本社側の要請を確定する

ステップ1で抽出した懸案リストをクリアにし、Mappingを完成させるため、日本本社の連結担当者に直接話を伺いました。
勘定科目は、米国側と日本本社側で同じような名称を使っていても用途が異なる場合もあるため、表記名だけではなく、各科目が実際にどんな内容を意味しているかを検証することが大切です。
連結担当者との打ち合わせはMappingの検証が主目的ですが、その際、連結パッケージで求められているデータの精度も確認しました。米国子会社にとっては数百ドルの誤差が重要であっても、千ドルあるいは百万ドル単位で数字を扱う連結決算ではほとんどインパクトがないことがあります。
このような場合、数百ドルの誤差解決よりも、期限までに連結パッケージを提出することの方がはるかに大きな意味があります。
同時に(データ提出の)優先順位も確認します。
例えば、注記項目などは連結財務諸表作成プロセスの初期段階では必要がないため、主要数値データの提出後に後追いで提出しても支障がないケースも多く見られます。
通常、連結財務諸表の作成は、米国側、日本本社側とも非常にタイトなスケジュールの中で行われます。
上記のように費用対効果を考慮して作業を進めることで、限られた時間を有効に利用し、本社の要請に対してより適切に対応することが可能になります。

ステップ3:データの収集、加工、入力プロセスを見直す

次に、データの収集、加工、入力プロセスをいかに効率化できるかを考えました。このステップでは、ほとんどのエラーの原因となる「人による手作業」を排除する方法を検討します。

(1)ステップ2のアウトプットであるMappingに従い、既存の会計システム内に存在するデータを、
そのまま利用できるデータと加工が必要なデータに分類しました。

(2)「加工が必要なデータ」の最適な加工方法を検討しました。
エクセルの関数(詳しくは弊社のニューズレター3号をご参照下さい)やマクロを活用することで、手計算をなくし効率よくデータ加工ができるようにします。

(3)最後に、既存の会計システム内に存在しないデータへの対応策を考えました。
データの入手先や、加工方法の検討などが含まれます。経理担当の方が別用途のために既に作成している場合もあるため、予め社内にある資料を一通りレビューしておくことも必要です。適切なデーターの検索や最適な加工方法の決定には、連結パッケージ作成に関する相当程度の知識と経験が必要になります。

ステップ4:将来のためにワークプロセスを整備する

ステップ3で見直したデータの収集、加工、入力プロセスを仕組み化することで、その後の連結パッケージ作成をさらにスムーズにしました。以前は連結パッケージ作成のために一から資料を準備していたのですが、月次/四半期決算プロセスに追加のステップを組み込み、予め必要データを収集、加工しておくことで、連結パッケージに必要なデータが早く入手できるようになりました。
会計ソフトによっては外付けのレポート機能ソフトを追加することで特定データを集計することも可能です。また、ERPを使用している場合には、弊社がベンダーと直接やり取りしプロセスの改善を図ります。

上記ステップの結果、JPCアメリカ社での連結パッケージ作成プロセスが改善され、本社からの再提出/修正要請もほぼなくなりました。 弊社がお手伝いしたほとんどの事例では、連結パッケージ作成に要する時間は約半分~2/3に削減されております。

<まとめ>

連結パッケージの作成ではいろいろな工夫が考えられますが、その多くは、ケースでも触れた次の3つのポイントに集約されます。御社で連結パッケージを作成される際、これらのポイントを頭において進めてはいかがでしょうか。

(1) 勘定科目を一致させる
米国で使用している勘定科目が、連結パッケージ(本社)で使用されているどの勘定科目に当てはまるのかを検証し、Mappingします。 このMappingが、その後の連結パッケージ作成の基礎となるため、時間をかけ精度の高いものを作っておくことが大切です。

(2) 処理を自動化する
連結パッケージ作成上のエラーは、そのほとんどが手作業に関連するものです。
そのため、出来る限り手作業をなくし処理を自動化することが、連結パッケージを作成する際の重要なポイントとなります。

(3) 決算スケジュール、プロセスを包括的に見直す
間違いのない連結パッケージを決められた期日までに提出するには、スケジュールやプロセスを包括的に見直すことも必要です。
例えば、準備段階となる月次/四半期決算プロセスを再検討することも効果があります。

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