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第11回 「管理部門の達人」 ~経理編~

(2013年6月26日の発行記事です)

【バックアップの重要性のおさらい】

今年の2月にお送りした「バックアップ要員の重要性とそのつくり方」にて、いかに経理機能のバックアップが大切かについてお話しました。簡単におさらいしてみます。

アメリカでは一般的に退職2週間前通知によって、スタッフは退職をすることが多いため、後任の選任を含め抜けた穴を埋める対応策の決定を、その2週間で行わざるを得ない事が多くあります。人が入れ替わったり、スタッフが突然何らかの事情で長期休暇を取らざるを得ない状況になった場合でも慌てず、冷静な対応を取れるようバックアップの準備をしておきたいものです。

バックアップ要員がいると、

緊急時に冷静な判断ができる

・・・急いで人員補充を行おうとした採用で、雇用・人事戦略的な失敗を回避できる

スタッフのスキルアップにつながる

・・・バックアップを取るために、通常業務外の業務内容を学ぶ機会を得られるので、スタッフはこれまで以上のスキルを付けることができ、また現在の職内内容にそのスキルを還元できる可能性もある

業務効率促進のチャンスが生まれる

・・・バックアップを取る目的で他の業務を、本来その業務に従事していない担当者が客観的視点から業務を見ることで、今までのプロセスの見直し、更には業務効率化へのきっかけとなる

このようなメリットは一例で様々な利点が考えられます。

「バックアップ要員の重要性とそのつくり方」ではバックアップの重要性についての詳細やバックアップの取り方についてもお話ししていますので、ご興味ある方は是非、ご一読下さい。

【バックアップ要員が作れないとき】

経理部員が複数いる場合には、経理部内でバックアップ要員を捻出してバックアップをとる事が可能です。また、バックアップを取れていないとしても部内の接点があるため、他メンバーの業務内容やタイミングが多少分かるものです。 しかし、経理担当が1名しかいない、経理アシスタントは派遣社員に任せているという企業も少なくはありません。 このような場合、この1名しかいない担当者が抜けた時の穴は大きいですね。

当然ながらバックアップ要員を作るにはバックアップ用の人材が不可欠になるわけですが、ここではその人材がいない場合のセーフティーネットの作り方をご紹介します。 下記が揃っている場合、経理経験がある人であれば、かなり早く業務のキャッチアップが可能になります。

経理用のディレクトリー (一覧) を整理しましょう

突然経理担当者がいなくなった時、業務内容・業務フローの確認の手がかりとなるのは残されたデータです。
どこに何のデータがあるかわかるよう、ファイル名のルール付けなどをされていると思いますが、それでも普段から使用していない人がそのフォルダを見た時には、中々欲しいデータに行き着くことが出来ません。経理用のディレクトリー(一覧)を作ることで、フォルダやデータの整理整頓も出来ますし、会計のスペシャリストがディレクトリーを見た時には、経理の流れまでも、ある程度把握する事が出来ます。

会社基本情報リスト

会計にまつわる会社の基本情報リスト(会社住所、登記情報、Tax ID情報、会計ポリシーなど)を作りましょう。
基本情報リストには、「各種報告書をいつまでに誰に送付する必要があるか」の一覧も重要です。
また、経理規定書があるからと安心してはいけません。経理規定書は最新でない場合や、実際の業務レベルでは作成されていない事が多いためです。
その他、会計士やアウトソーシング会社のコンタクト先、監査人のコンタクト先、会計システムのIT会社や給与システム会社のコンタクト先などの取引先一覧を作成しておくと安心です。

会計業務スケジュール

年間スケジュールと月間スケジュールを作成しましょう。会社の規模、業務内容のボリュームによっては、週単位や日単位のスケジュールも必要です。 年間スケジュールには、年間行事を記入し、誰が担当なのか、何をするのかなど簡単にまとめます。月間スケジュールには、月次に起こる事のスケジュールを記入します。このスケジュールは特定の年や月ごとに作成するのではなく、どの月にも年にも当てはまるような形で作成しましょう。そうすると毎月、毎年新しいものを作る必要はなく、アップデートが必要な時だけ更新すれば良いので便利です。

ワークフロー

業務の流れが一目でわかるワークフローを作成しましょう。内部統制資料でワークフローを作成している企業も多いかと思います。「誰からどの時期に何を受け取り、誰に承認を経て、どこにファイルするのか」などが分かるようなワークフローを作成すると、業務フロー改善にも役立ちます。少なくとも、買掛金と売掛金のワークフローを作成しましょう。また、経理担当が給与プロセスも行っている場合、給与プロセスのワークフローも重要です。

ID とパスワードの保管

会計業務は、センシティブな内容を含むデータが多いため、システムに入ったりデータを開くためにIDやパスワードが必要な事が多いです。IDやパスワードを一覧にして公開するのは機密保持上問題がありますので、必ず内部統制上アクセス権限のある人や保存場所でIDとパスワードを把握するようにしましょう。フォルダ内のデータまでは見つけられたのに、そのデータにパスワードがかかっているために開く事が出来ないという事例を良く耳にします。

アカウントバランス照会表

バランスシート項目の現金や売掛金、買掛金以外の項目については、毎月バランスを確認し、一覧にしましょう。バランスシートの数字は累積されるものですので、急に経理担当者がいなくなると過去の流れが分からなくなってしまいます。 バランスシートの月末の数字の内訳をリストした表を作成しておくと、過去の流れが分からなくても、何から数字が形成されているかが分かります。この作業は慣れると簡単ですし、記帳ミスの防止や内訳内容確認も簡単にできますので、普段の業務にも大変役立ちます。

マニュアル

当然ながら、詳細な業務マニュアルがあるとバックアップ要員がいなくても、業務を進めることが出来ます。しかし全ての業務のマニュアルを作成するのは時間がかかりますし、マニュアルに従って業務を行うのも理解に時間がかかります。そこで、詳細なマニュアル作成をする際には、「基本」と「例外」を作るようにしましょう。「基本」マニュアルには、例えば、請求書が来たら過去の入力方法を見て、毎月同じ入力で同じ内容であれば同じように入れる、といった事になります。 もちろん、入力方法のポイントなどは書いておきましょう。 また、独自のシステムを使用している場合は、システムの基本マニュアルが必要になります。
「例外」マニュアルは、「基本」マニュアルでは対応できない内容を書きます。例外的な扱いをしている顧客や、取引先、システムでエラーが出た時の対応策などになります。また、月末・四半期末・年度末調整のマニュアルは必須です。何の目的でどのような調整を入れているのか、どのように数字を抽出しているのかをマニュアル化するようにしましょう。

バックアップ要員がいない場合のセーフティーネットの作り方、という事でお話を進めて参りましたが、仮にバックアップ要員がいたとしても、是非、上記項目の作成に取り組んでみてください。これらを作成している途中に業務改善のポイントを発見し、業務効率が上がる事も期待できると思います。

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